歯の神経が死んでしまうとは一体どういう状態をさすのでしょう?
例えば歯に食べ残しがあり、そこに虫歯菌が繁殖し、そうすると歯の表面が一層溶けていきます。
そうすると歯がしみるようになります。
それを放置するとさらにさらに穴が開いていきます。
歯が溶けて穴が開いていきます。
イメージしてみてください。
バケツに水が入っていると思って下さい。
バケツに小さなキズがあったとしも大した問題は起こりません。
しかしどんどんどんどんバケツにキズが付くと穴が開いていきます。
そうすると中に入っている水が溢れ出します。
これが穴が歯の神経・血管に到達した状態だと思って下さい。
そこには防ぐことの出来ない穴が開いてしまうのです。
そうするとバイ菌がもう入り放題です。
大事に大事に硬い壁、エナメル質、歯のの壁、象牙質で覆われていた
歯の神経や血管が露出してしまうのです。
水の入ったバケツがある程度の衝撃に対しても耐え切れる状態だったのが何度も何度も擦れるうちに小さい穴が開くたびに、完全に穴が開くことによって、そこに穴が開いてしまい、そこからどんどんどんどん広がっていってしまうのです。
バイ菌にとって実は神経や血管・血液、これは重要な栄養素なのです。
とっても美味しい大好物なのです。
もちろん人間の体はバイ菌が入ってきた時には、そのバイ菌に対して戦おうという免疫という防御機構があります。
しかしながら余りにバイ菌の量が多いとその防御機構で食い止ることはできなくなるのです。
ですのでバイ菌はどんどんどんどん増殖を続けていきます。
最初は歯の表面だけだったんですが、歯の神経・血管にまで到達することが出来ればそのバイ菌は一気に歯の神経・血管をやっつけていきます。
そして最初は歯が沁みたり、痛んだり、ズキズキということが起こっていくのですが、それはバイ菌と戦っている証拠でもあるのです。
これが負けると痛みを感じなくなっていくのです。
よく歯を治療せずにほったらかしにしていたら、
「歯がボロボロと欠けていった」
「痛みが和らいだ」
「痛みが止まった」
ということが、あります。
例えばこの時期に痛み止めの薬を飲むという行為は、確かに日常生活において痛みを和らげる、戦っているその痛みを、戦っているということを脳に知らせようとしている報告を警告を一生懸命、一生懸命体は送ってくるのですが、それに対してそれを無視しろというのが、これが痛み止めなのです。
特に昨今、痛み止め、以前であれば病院から処方箋がないと薬局から出せないような強い痛み止めの薬が日常的に薬局で買うことができるようになってきましたので、簡単にそういうお薬を手に入れることができています。
その影響もあってか虫歯が本当に進んでしまってから来られる方が増えているようにも思います。
すでに歯の神経が死んでしまっている方がいらっしゃるのです。
通常であれば歯の神経とバイ菌が戦い、「痛い、しみる」とのことで来られていたはずなのですが、その痛みも痛み止めの薬を飲むことにより痛みを止めるというのはバイ菌を殺すお薬ではありませんから、治っているわけではありません。
ただ日常的に痛みを感じることが減りますので、そういうお薬を取ってしまうお気持ちはよくわかります。
しかしながら歯は自然に治りませんので、どんどん悪い状況になっていきます。
そしてとうとう歯の神経や血管が死んでしまった時には、逆にまったく痛みを感じなくなってしまうのです。
ではそのバイ菌達はどうするのか。
さらにさらに歯の奥へ奥へ侵入して行きます。
そして歯の根っこを越えて、根っこ周囲にある骨や歯茎を溶かしていくのです。
その時点で、バイ菌の住処である根管の中、そこを早く掃除してあげないとどんどんどんどんバイ菌は奥へ奥へと入っていきます。
ですから歯の神経を取る治療というのは歯の神経を取る治療だと思われている方が多いんですが、実はこの時点では死んでしまった、バイ菌に侵されて神経が死んでしまっていて、神経が残っているのではなく神経が腐ってしまった、生きていない神経がそこにいるのです。
つまり生ゴミが腐敗していっている状態だということです。
そうするとにおうと臭いですよね。
発酵食品を思い浮かべていただくと膨らんできますよね。
腐っていくとガスを出すのです。
そうすると圧力が高まります。
そうすると歯の神経は死んではいるんだけれども、周りの骨や歯茎が溶かされることによりそこで顔が腫れてくるような方までいらっしゃいます。
すでに歯の神経の治療で神経を取ってしまった方でバイ菌に侵された場合にはいきなりこの状態にまでなってしまうこともあります。
この場合には早く根っこの中をバイ菌が少ない状態に減らしてあげるということが必要です。
では歯を支えている骨を溶かしたバイ菌達はどこへ行くのでしょうか。
実は歯の神経というのは脳と繋がっているのです。
例えば指先、指先の神経は指先だけでしょうか。
これは脳から繋がった神経なのです。
その一部に過ぎないのです。
つまりバイ菌は歯の中の神経だけを死なせるわけではなく、さらには歯の外の周囲の骨や歯茎の神経も殺して行きます。
そして骨を溶かしていくのです。
そしてとうとうその奥には太い神経・血管が控えているのです。
そこにたどり着いたバイ菌はどうなるんでしょう。
一気に全身を巡って行ってしまうのです。
心筋梗塞、聞かれたことありますでしょうか。
心臓の血管が物が詰まって血が流れにくくなってしまった状態。
よく動脈硬化や全身糖尿病やそういうことが大きく取り沙汰されていますが、その詰まっているのは何だろうと研究した先生がいらっしゃいました。
実はその詰まっている物の中にいくつもの口の中の歯周病菌、バイ菌が見つかっているのです。
つまり口の中にいたバイ菌がそういう心臓の中で発見されたり、誤嚥性肺炎といって肺炎の中で肺炎球菌といっしょに肺炎を起こしていたり、口の中だけに留まらず全身にまで影響を及ぼしているのです。
ですから歯の神経の治療をした方が良いのか、しない方が良いのかと単純に考えたならば、神経の治療は神経が生きているのであれば残せる方向で治療してもいいと思いますが、それを越えてしまった場合には早くそういう治療を行なわないと全身に対して影響を及ぼす。
また上の歯の場合には歯の根の奥には鼻の部屋があります。
鼻の部屋にバイ菌が侵入していってしまうのです。
ただ単に歯や口だけの問題ではなくなり、鼻の手術を含めた処置が必要になったりもするのです。
水の入ったバケツに穴が開いた場合には水が流れ出ます。
どんどん流れ出ます。
決して歯の葉1本を最終的に抜けば済むという問題ではなくなることもあるのです。
次に力です。
重たい物はみんなで持ったほうがいいですよね。
ところが他の歯に比べ早く当たる歯がある場合には、例えば飛び出してくる歯とかです。
歯は一生動き続けます。
後ろから前に下から上にというふうに歯は動いていくのです。
例えば砂場で手を置いてかき寄せてみてください。
砂が盛り上がってきますよね。
そのように動きがあれば歯も同じように飛び出ていくのです。
そうすると重たい物をみんなで均等に力をわけわけして持っていれば大丈夫ですが、一人だけが飛び出るとその飛び出た歯に力が集中します。
押されて押されて、満員電車で押されてすごく痛いですよね。
横の人が退いてくれてよけられたらいいですよね。
でも歯は顎の骨の中に埋もれているのです。
支えられているのです。
どこへでもは動いていけないのです。
ついには割れてしまうこともあるのです。
今まで虫歯なんかまったくなかった。
虫歯なんかなったこともなかった。
なのに突如すごい痛みが。
その痛いという場所を観察すると、レントゲンを見ても、肉眼的にも何もないんです。
ただ押さえると痛いんです。
すごく痛いですからあまり強く抑えることはできません。
よく見ると亀裂が何本も入っています。
触ると痛いので麻酔をし、麻酔をしましたから強く押さえても痛みません。
強く押さえるとそこから血がじわぁっと浮き出てきます。
そうです、歯が真っ二つに落花生のごとく割れていたのです。
歯は徐々に徐々に溶けてくることによっても穴が開きますが、そのような衝撃的な一撃によっても歯は割れるのです。
この場合は一気に神経・血管のいるところまで真っ二つに割れるのです。
バケツに入った水がちょっとづつちょっとづつ欠けて行き穴が開くのと同じように小さい力ではそうですが、大きい衝撃がバーンとかかった時、バケツが一気に真っ二つに割れますよね。
砕け散りますよね。
そのように歯も割れるのです。
その場合はいきなり歯の神経が口の中に露出しますからものすごい痛みとなります。
小さい穴が開いて水が出るのであればそれを防げばいいのですが、大きく真っ二つに割れた場合は残念ながら封鎖することはできません。
この場合にも早く神経を除けてあげないと痛みを抑えてあげることはできなくなるのです。
ですのでバイ菌による影響と力による影響、そういう大きい二つの理由、そしてその組み合わせというのがありますので、今まで虫歯がなかったからといって安心もなかなかできないのです。
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